2021.05.04
夏が近づき汗ばむ季節になりました。
こんな時はつるっと喉ごしのいいお蕎麦が食べたいですね。
そんな“喉ごし”自慢のお蕎麦といえば、「へぎそば」です。
みなさんは召し上がったことはございますか?
今回は、そのへぎそばのルーツと特徴をご紹介します。
「へぎそば」のルーツ
へぎそばは、織物の街、新潟県 魚沼・十日町地方で誕生しました。
この地域は、高級織物の小千谷縮(おぢやちぢみ)の産地。その、織物作りになくてはならないのが、海藻の「布海苔(ふのり)」です。これを糸に付けると、強度が増して切れにくくなるため、仕上げの際に形を整えるためにも使われます。
魚沼地方は海から離れた地域ではありますが、こうした事情で多くの家庭に布海苔がありました。それを蕎麦のつなぎに利用して誕生したのが、「へぎそば」です。
「へぎそば」の特徴
特徴1:「つなぎに“布海苔”を使用」
そばを打ちやすく、麺状に保つために、普通は小麦粉をつなぎとして混ぜ込みます。ところが、織物の産地であったこの地域では、織物の糸に張りを持たせるために使っていた布海苔をつなぎに使い始めたのです。
特徴2:「“へぎ”という器に盛られる」
へぎそばは、「剥ぎ」が語源で、木を剥いだ「剥ぎ板」で作られる四角の器“へぎ”に盛られることからその名が付いたといわれています。
特徴3:「“手繰り”という、1口程度に丸めて盛られる」
布海苔を使う事でそば同士がくっつきやすく食べやすくするため、1口程度に丸めて盛られます。これを「手繰り」といい、「手繰りそば」とも言われています。
「へぎそば」は風土が生み出した郷土そば
布海苔を練り込んだへぎそばは、布海苔由来の歯触りと喉越しの良さ、そして薄く緑がかった色合いが特徴となりました。手繰りによりへぎに盛られたそばの見た目は、織物が盛んなこの地ならではの盛り付け方とも言われています。
ちなみに、お蕎麦の薬味といえばわさびですが、十日町ではワサビがとれなかったことなどが理由で、へぎそばの薬味はからしを使うお店が多いそうです。
へぎそばは、この土地ならではの歴史や素材によって生み出された、独特の郷土蕎麦なのです。
弊社でも、乾麺のへぎそばをお作りしており、乾麺ですのでご家庭でもお召し上がりいただきやすくなっております。
暑い日におすすめのお蕎麦です。